大阪観世会定期能 「鞍馬天狗 白頭」 あらすじ 見どころ      終了しました ありがとうございました

 

観世会3月283

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観世会3月284

鞍馬天狗

あらすじの前に

「鞍馬天狗」は平安時代、義経が子供だった牛若丸時代の話で、鞍馬山で修行をしていたころ遮那王(しゃなおう)とよばれていた時の物語です。

平治の乱で源氏は敗北し、源義朝は討たれ、義朝の妾だった常盤御前は清盛に命乞いされますが、こんどは清盛の妾になります。

義朝と常盤御前との間に生まれた牛若は清盛の息子達と幼馴染の時代を過ごします。牛若は11歳で寺に入れられますが、その理由は

「まだ幼いので処刑しなくても敵になることはない」「寺に入れると遺伝子をつくれない」など、実質的に源氏を根絶やしにできるということだそうです。

能にはいろいろの天狗が登場しますが、 仏法や人に仇をなす天狗が多い中で「鞍馬天狗」の天狗は人を助ける強大な力を持った天狗です。

鞍馬山は平安時代から桜、紅葉の名所として有名で、修験道の霊山でもありました。その山に住む天狗は山の自然そのものとして考えられてきました。

登場人物

前シテ・・山伏  面:直面 (ひためん)

後シテ・・天狗  面:悪尉(あくじょう)  

子方・・牛若丸  

子方・・稚児(数人)

ワキ・・東谷の僧

ワキツレ・・従僧

オモアイ・・西谷の能力

アドアイ・・木葉天狗(数人) 面:見得

 

あらすじ

前場

春の京都、鞍馬山の奥にある僧正が谷(そうじょうがたに)に住む山伏(前シテ)が、花見の宴のあることを聞きつけ、少し離れたところから花を眺めようと見物に行きます。

稚児を伴った鞍馬寺の僧(ワキ・ワキツレ・オモアイ)たちが、花見の宴を楽しんでいると、その場に先の山伏が居合わせていたことがわかります。

よそ者の同席を嫌がった僧たちは、「花見は明日でもよい」と言い、稚児を連れて帰ってしまいました。

ひとりの稚児が残っています。

がっかりする山伏に稚児が

「一緒にお花見をしましょう。」と話しかけてきました。

声をかけられた山伏は、稚児に親しみを感じます。

山伏は稚児の身の上話を聞き、稚児が源義朝の子供で遮那王(しゃなおう)と名付けられた牛若だと察します。

当時は「平家にあらずんば人にあらず」と言われるほど、平氏の全盛期だったので源氏の人々にとってはこの上なく肩身の狭い時代でした。

そんな時代の波に、巻き込まれる幼い牛若に対して、同情の気持ちが山伏の中で募っていきます。

夕暮れが訪れ、山伏は牛若に鞍馬山から見える花の名所を教えます。

牛若が自分に優しくしてくれた山伏に名前を尋ねると、山伏は鞍馬山の大天狗であると名乗り

「平家を亡すべき兵法の奥義を授けよう。また明日会おう。」と言い残して飛び去ります。

後場

その翌日、約束通り大天狗(後シテ)が諸山の天狗を引き連れてやってきました。

いずれも名高い霊山の天狗に囲まれながら牛若への稽古が始まりました。

大天狗は牛若に、自らの師匠である漢の張良(ちょうりょう)が黄石公(こうせきこう)に兵法の秘伝を伝授された話を語って聞かせます。

(張良が秦の黄石公に兵法の秘法を授けられた時、黄石公は張良の忍耐力を試したあと履いていた靴をわざと落とし張良に履かせ、張良の器量を見たという話)

大天狗は牛若に「張良に劣らぬ器量をもっている」と兵法の奥義を授け、牛若を守護することを約束して再び飛び去っていきました。

見どころ

『鞍馬天狗』の見どころはなんといっても花見をする稚児たちの登場です。

前場では、大勢のかわいい稚児の登場や大天狗の化身である山伏と、孤独な牛若丸との師弟の絆が表現されます。

後場では大天狗の勇壮な姿と豪快な動きが見せ場となります。

天狗といえば鼻の高い赤い顔が思い浮かびますが、能の天狗は羽団扇を手にし、「大べし見」という能面の中でも、目や鼻が大きく彫りが深い面をつけた姿で表現されます。

 

白頭という小書(こがき)では、大天狗(後シテ)の頭髪が通常の赤から白になり、役のスケールが大きくなり、鹿背杖(かせづえ)をついて現れます。大天狗が長刀を使うのも小書(こがき)のときだけです。

面も常の「大べし見」から悪尉(あくじょう)などに変わることもあります。

悪尉の悪は、「わるい」の意味ではなく「大きさ」を意味します。