第12回 和の会 平成28年6月26日(日)終了しました ありがとうございました。

平成28年6月26日(日) 開演午後1時30分(開場1時)

第12回 和の会  於 大阪能楽会館

能 「屋島」 シテ 今村哲朗

狂言「鳴子遣子」 善竹忠一郎

能 「安達原」白頭 長絲之伝 シテ 上野雄三

 
一般  4000円前売  4500円当日
学生  2000円前売  2500円当日

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能 「屋島」 やしま

 都の僧(ワキ)が住僧(ワキツレ)を伴い讃岐国・屋島の浦へと着き、日も暮れてきたので塩屋に立ち寄り待っていると、主である漁翁(前シテ)と若い漁夫(ツレ)が帰ってくる。僧一行は一夜の宿を乞うと断られるが、都の者だと知り懐かしみ泊めてくれる。僧の頼みで漁翁は屋島での源平合戦の様子を語り出す。義経の勇士ぶり、景清と三保谷の錣引、佐藤嗣信が義経をかばって能登守教経の矢先に倒れた最期など、余りに詳しく語る漁翁に旅僧が名を尋ねると、義経の霊であるとほのめかし消え失せる。(中入)

 塩屋の本当の主が現れ屋島の合戦のことを聞き眠りにつくと、甲冑姿の義経の霊(後シテ)が現れ「弓流し」の様を再現し、修羅道での責苦の戦い、また教経相手の激戦の様子を語るが、夜明けとともに消え失せ浦風だけが残っていた。

錣引きとは?

 源氏の大将・義経の名乗りの後、両軍ともに攻めゆき、駆けゆきあうところ。逃げる三保谷四郎を平家の悪七兵衛景清が追いかけて、ついに三保谷十郎の兜の錣(しころ。兜の左右と後とに垂れて首の部分をガードするもの)を引きちぎったという。体が大きくて力持ちだったという平景清の武勇伝。(今村哲朗)

狂言「鳴子遣子」なるこやりこ

   野遊山に出かけた二人の男が、鳥を追う道具を「鳴子」か「遣子」かで、刀を賭けての言い争いになります。茶屋の主人に判定を頼むのですが、さて判定は…。

能 「安達原」 あだちがはら

    紀州那智の山伏、東光坊祐慶(とうこうぼうゆうけい)(ワキ)の一行が、本山を出、諸国行脚の旅に出ます陸奥・安達原にさしかかると、日が暮れてきたので一軒の庵を見つけ宿を乞います。その庵から女(シテ)が一人現れ、宿を貸すことを躊躇しますが、一行の所望に応じて迎え入れます。庵の内で祐慶が見馴れぬ枠桛輪(わくかせわ)(糸繰り車)について尋ねるので、女はそれで糸を繰って見せます。やがて女は、寒くなってきたので薪を集めに山に行こうと言い「留守の間、くれぐれも閨(ねや)の内を見ないように」と言い残し、出かけます。(中入り)

 不審に思った間狂言(能力) (アイ)は山伏達(ワキ・ワキツレ)が、寝入ったのを見て、そっと閨を覗きます。そこは死体が山と重なっています。驚いた能力は、ワキに報告し、恐ろしい光景に肝を潰した祐慶たちは逃げ出そうとします。

 そこへ、鬼の姿となった女後シテ(鬼女)が柴を背負って山から戻り追って来ます。約束を破った恨みを述べて襲いかかるが祐慶の祈りの法力によって祈り伏せられ、夜の闇の中へと消えて行きます。

 「安達原」は「葵上」「道成寺」と共に「三鬼女」と呼ばれ、いずれも後半の場面で般若の面(おもて)をかけた鬼女が山伏または僧侶にいどみかかり、祈り祈られる場面があります。「安達原」の「祈り」は深い恨みで最も強く演ずると云われています。
 今回は白頭 長絲之伝の小書(特殊演出)がついているので前シテの面や装束が変わり、糸を巻く型が変わります。また、後シテは白頭のいでたちになり、謡や動きに緩急がつきます。(上野雄三)

「安達原」は、「道成寺」「葵上」と並ぶ「三鬼女」の一つ。